各月にちなんだ宝石として世界各国で親しまれている誕生石。2021年末、日本の誕生石が実に63年ぶりに改訂されました。新たに仲間入りした10種類の新誕生石、それぞれの宝石の特長や魅力を紹介します。
「自分の生まれた月の宝石を身につけていると厄災から身を守ってくれる」という言い伝えがあり、古くから世界中でお守りのように親しまれていた誕生石。その成り立ちや、日本の誕生石について、一覧とともに紹介します。
誕生石とはどんなもの?
誕生石とは、1月から12月までそれぞれの月を象徴する宝石のこと。かつて旧約聖書や新約聖書に「12個の宝石」についての記述があったことが起源とされており、誕生石としては18世紀頃ユダヤ人によって広められたと言われています。
今日の誕生石は、1912年にアメリカの宝石商組合(現在のジュエラーズ・オブ・アメリカ)が選定して定めたものを基にして、1952年にアメリカ宝石小売商組合など複数の団体によって改訂されたものが基準となっています。
日本の誕生石一覧
誕生石は国ごとに風習や習慣に合わせて選定されており、その種類には若干の違いがあります。日本の誕生石は1958年に全国宝石卸商協同組合によって制定。アメリカの宝石商組合による基本の誕生石に加え、桃の節句の3月には桃色が美しい珊瑚(コーラル)を、新緑が芽吹く5月には深い緑色の翡翠(ヒスイ)を追加した19石の誕生石になっています。
<日本の誕生石一覧※2021年11月時点>
1月 ガーネット
2月 アメシスト
3月 アクアマリン・珊瑚
4月 ダイヤモンド
5月 エメラルド・翡翠
6月 真珠・ムーンストーン
7月 ルビー
8月 ペリドット・サードオニックス
9月 サファイア
10月 オパール・トルマリン
11月 トパーズ・シトリン
12月 トルコ石・タンザナイト
日本の誕生石が63年ぶりに改訂!新誕生石が登場
制定以来親しまれてきた日本の誕生石でしたが、2021年12月、63年ぶりに改訂が行われました。それにより、新たに計10石の宝石が新誕生石として追加されることに。その背景と、新誕生石の詳細を紹介します。
誕生石が改訂された背景は?
日本にも広まった誕生石ですが、特に明確な規格などがあるわけではなかったため、ジュエリー業界では団体ごとにさまざまな誕生石が混在している状態でした。そんな中、2016年にジュエラーズ・オブ・アメリカが誕生石を改訂。新たに4つの石が追加されたことをきっかけに、「消費者に宝石への関心を高めてもらいたい」という願いから、全国宝石卸商協同組合が誕生石の改定と統一を呼びかけました。その改定案に日本ジュエリー協会、山梨県水晶宝飾協同組合が賛同し、先にアメリカで追加された4石と日本独自に選定した6石、計10種類の宝石を加えた「日本の統一された新誕生石」が誕生することとなりました。
新たに加わった10の新誕生石とは
アメリカで先に追加された誕生石は、アレキサンドライト、スピネル、タンザナイト、ジルコン。日本独自に追加された誕生石は、クリソベリル・キャッツアイ、ブラッドストーン、アイオライト、モルガナイト、スフェーン、クンツァイトです。近年、新たな鉱山が発見されるなどして流通量が増えた宝石や、色味の美しさから人気が高まった宝石が選定されたため、今回の改定により比較的手に入りやすくカラーバリエーション豊富な誕生石が揃うこととなりました。
それぞれの誕生石が紐づく月と、宝石の特長、石言葉について次から紹介していきます。
新誕生石として新たに加わった宝石と石言葉を紹介!
日本の新誕生石として追加された10の宝石について、その特徴や石言葉を紹介します。
2月の新誕生石:クリソベリル・キャッツアイ
【石言葉】 寛大な心 未来を見通す 静かに見守る など
艶のある黄色や黄緑の輝きを放つ宝石、クリソベル。このクリソベルに、まるで猫の目の瞳孔のような白い光の筋が見られるものをクリソベル・キャッツアイと呼びます。和名は「猫目石」。
キャッツアイ効果と呼ばれるこの光の筋は他の宝石でも見られますが、クリソベルはその中でも最も美しい猫目が現れることで知られています。また、暗闇に光る猫の目のように全てを見通し、悪いものを遠ざける力があるという言い伝えも。ハニーカラーやアップルグリーンなどのカラーが人気。
3月の新誕生石:ブラッドストーン
【石言葉】 勇敢、救いの力、献身 など
濃厚な緑色に、鮮やかな赤の斑点を持つ宝石、ブラッドストーン。まるで血を連想させるその見た目から「Blood(血)stone(石)」という名前になりました。和名は「血石」。
緑色には大地のエネルギー、そこに点在する赤色は邪悪な力を払いのける力があると言われ、「絶対の力を宿す宝石」として古くから大切にされていた宝石だそう。鮮やかで明るめな緑色であるほど価値が高いと言われています。
7月の新誕生石:スフェーン
【石言葉】 永久不変、才能開花、強さ など
宝石に入った光を分散させ、白い光を7色の虹のように分ける「ファイア効果」がダイヤモンドよりも強いことで知られているスフェーン。結晶がくさびのような形をしていることから、ギリシャ語でくさびを表す「スフェノス」に由来してその名が付けられました。和名は「楔(くさび)石」。
グリーンやイエロー系のカラーが多く、中でもイエローからやや褐色まじりのゴールドに発色したスフェーンは輝きが強く、人気があります。
8月の新誕生石:スピネル
【石言葉】 挑戦、好奇心、目標達成 など
様々な美しい色合いを持つことから、かつてルビーやサファイアとして取り扱われることも多かったというスピネル。イギリス王室の戴冠式用の王冠に飾られている「黒太子のルビー」は実はレッドスピネルだった、という史実もあるほどです。先端が尖っている八面体の結晶として産出されることから、ラテン語でトゲを意味する「spina(スピーナ)」が語源となり、この名がついたそう。和名は「尖晶石」。
元々は無色透明の石ですが、含有する鉄、クロム、マンガンなどの微妙な量によって赤やブルー、ピンク、オレンジ、褐色、緑色、黒色、など多彩な色を発色します。
9月の新誕生石:クンツァイト
【石言葉】 無償の愛、純粋、可憐 など
スポデューメンという鉱物の一種で、優しいライラックピンクの色を放つクンツァイト。同じスポデューメンでも、緑色~黄緑色のものはヒデナイト、黄色いものはトリフェーンと呼ばれています。ダイヤモンドのように太陽の光を浴びた後で暗いところに持っていくと光を放つ「燐光性」と、見る角度によって色が変わる「多色性」が特徴の宝石。和名は「リチア輝石(りちあきせき)」。
紫色を帯びた上品なミルキーカラーのピンク色が特徴。透明感が高く色鮮やかなものは希少価値が高いとされています。
12月の新誕生石 ジルコン
【石言葉】 生命力、行動力、成功 など
ダイヤモンドに似た「ファイア効果」を持ち、美しい輝きを放つジルコン。44億年前から存在し、地球上で最初に形成された鉱物だと言われている天然石です。その美しさからダイヤモンドの代替品されることも多いため、人工石である「キュービックジルコニア」と間違われることもありますが、全く違うものです。和名は「風信子石(ひやしんすせき)」。
色の種類が豊富な宝石で、無色透明の他、ブルー、グリーン、イエロー、レッド、ブラウンなどさまざま。中でもブルーのジルコンは非常に人気で高価なものとなっています。
新たに追加された新誕生石について詳しく紹介しました。新誕生石は、近年人気の高い宝石として選ばれているものもたくさん。好みの色合いなど、宝石の美しさから選んで身につけてみるのも素敵ですね。
■この記事のポイントのまとめ
誕生石とはどんなもの?
日本の誕生石が63年ぶりに改訂!新誕生石が登場
新誕生石として新たに加わった宝石と石言葉を紹介!