アレキサンドライトは、光源の変化によってその色を変える珍しい宝石。昼の太陽光の下では深い青緑色に、日が暮れてランプやろうそくなどの白熱光を浴びるとすみれ色や深紅、赤紫色へと劇的に変化する様は「昼はエメラルド、夜はルビー」と称されるほどの美しさを誇ります。この太陽光と白熱光で色が変化して見える現象は変色効果、またはカラーチェンジと呼ばれていますが、この石の持つ変化があまりに印象的なことから「アレキサンドライト効果」と呼ばれることも。
19世紀にロシアのエメラルド鉱山で発見されたこの石は、鉱物クリソベリルの中の変色性を示す変種。現在ではブラジルやスリランカ、インドなどで見つかっていますが、インクルージョン(内包物)のないものは非常に稀で希少性があり、特に色の変化がはっきりしているものほど価値が上がるそう。ちなみに「アレキサンドライト」という名前は、この石がロシア皇太子であるアレキサンダーの16歳の誕生日に発見されたことから、未来の皇帝アレキサンダー二世を記念する意味でつけられたと言われています。高貴な石として人気が高いのは、その由来が理由のひとつかもしれませんね。