紅葉や稲穂など、大自然の豊かな色彩に包まれる10月の誕生石はオパールとトルマリン。日々景色も変化する実りの秋にふさわしい、遊び心ある色彩が魅力のふたつの誕生石について紹介します。
オパールとトルマリン、どっち?という声が聞かれることも多い10月の誕生石。結論から言うと、どちらも正式に制定されている10月の誕生石です。なぜ疑問に思う人が多いのでしょうか。その理由を石の詳細と合わせて見ていきましょう。
10月の誕生石の成り立ち
生まれ月の宝石をお守りとして身につけたり、大切な人にプレゼントしたりと、ラッキーチャームとして世界各国で愛され続けている誕生石。日本の10月の誕生石はオパールとトルマリンですが、「どちらが正しい10月の誕生石?」と疑問を持つ人が多いよう。これは、世界各国の誕生石が全て同じではないことが背景にあるようです。イギリスやオーストラリアではオパールのみが10月の誕生石として制定されているので、そこから誤解が生じたのではと考えられています。また、ローズクォーツも10月の誕生石であるという情報も見受けられますが、ローズクォーツは誕生石ではなく10月の守護石と言われています。パワーストーンとしてそのように表現されることがあるため間違われてしまうようです。よって、が制定した正式な日本の10月の誕生石は、オパールとトルマリンだけです。
オパール
幻想的な虹色の輝きをはじめ、見る角度や光の屈折により何種類もの異なる色を発するオパール。大きく分けると、遊色効果(プレー・オブ・カラー)を持つ「プレシャスオパール」と、不透明で遊色効果を持たない「コモンオパール」のふたつに分けられ、その中からさまざまな色に枝分かれして独特の美しい色彩を生み出しています。
▼オパールの詳細はこちらの記事を参照
https://l-co.jp/magazine-opal1/
トルマリン
複雑な化学組成により、豊富なカラーバリエーションを持つ独特の宝石、トルマリン。例えばルビーの赤、サファイアの青などのように基調となる色はなく、「トルマリンには全ての色がある」と言われるほどの色の多彩さを誇っています。マイナスイオンを発生させる性質や熱を受けると電気を帯びる性質があり、ヒーリング効果があるとも言われています。
【10月の誕生石】虹のように輝く遊色効果がドラマチックなオパール
見る角度によって色合いを変える不思議な輝きから、別名「虹色石」とも呼ばれているオパール。その独特の色のゆらめきで人々を魅了し、世界で最も愛されている宝石のひとつとされています。そんなオパールの魅力をまとめてみました。
9月の誕生石サファイアの特長とは
美しい虹色の輝きが特長のオパール。その幻想的な光は、粒子の大きさによって光の屈折が変わり、異なる色彩を発生させる「遊色効果(プレー・オブ・カラー)」によるもの。360度どの角度から見ても異なる輝きが楽しめるのがオパールの魅力です。色が美しく均等に出ているものほど高価で、良質とされるオパールは表面全体に遊色効果が見られます。
オパールには、遊色効果を持つ「プレシャスオパール」と、不透明で遊色効果を持たない「コモンオパール」の2種類があり、それぞれに多彩な色のオパールが存在します。代表的なオパールの種類と特長を見ていきましょう。
遊色効果を持つ「プレシャスオパール」
ホワイトオパール
半透明の白~乳白色の地色に遊色が現れるもの。産出量・流通量ともに非常に多いことから、オパールと言えばこの色をイメージされるほど最もポピュラーなオパール
ブラックオパール
グレーからブラックで、反射光の下で黒色に見える地色に神秘的な遊色を見せるもの。オーストラリアでしか産出されず、最も希少性の高い高価値なオパール。
ウォーターオパール
無色透明~乳白色の地色に鮮やかな遊色効果を見せるもの。透明度が高く、まるで水滴の中に虹を閉じ込めたような美しさが人気のオパール。
ファイアオパール
赤、黄、オレンジなど暖色系の地色で、まるで燃え盛る炎のように情熱的な色を放つもの。透明~半透明で、遊色を示さないオパールも。
ボルダーオパール
砂岩や茶色の鉄鉱石の母岩に付着しているオパールの層を母岩ごと研磨して宝石にしたもの。原石を磨く宝石と異なり、母岩が付いたままの珍しいオパール。
遊色効果を持たない「コモンオパール」
ミルキーオパール
ホワイトオパール同様の白~乳白色の地色に、遊色を持たないもの。乳白色に赤や青、黄色等が含まれることでパステルカラーになったグリーンオパール、ピンクオパール、パープルオパール、ブルーオパール、イエローオパール、オレンジオパールなど、さまざまな色が存在します。
ハイアライトオパール
透明~半透明で、無色~淡い青、緑、黄色などの地色を持つもの。その透明感から「グラスオパール」「ミュラーズオパール」とも呼ばれています。天然のウランを含んだものは、ブラックライトなどを当てるとネオンカラーを放ちます。
ウッドオパール
オパールには、貝や植物、動物などの組織と置換して化石化した種類もあります。ウッドオパールは、木が長い年月をかけて石化してオパール化したもの。遊色効果を持つプレシャスオパールとなるものもあります。
オパールの歴史や言い伝えとは
オパールには古くから世界各国でさまざまな言い伝えがあり、多くの文化で幸運のお守りとされ、身につける者に美しさと成功、幸せを運ぶと言われてきました。ローマでは希望と純粋さの象徴とされ、古代ギリシャでは洞察力や予言の力の化身として扱われていたそう。中でも特長的なものはアラブで、オパールを「空から落ちてきた稲光」とし、身につけていると稲光から身を守ってくれ、望めば姿を消すマントになってくれると信じられていたそう。このマントの話は、ハリーポッターに登場する透明マントにインスピレーションを与えたと言われることもあるそうです。
サファイアの石言葉、石の持つパワーとは
石言葉は希望、潔白、忍耐、純真、無邪気、幸運など
数ある宝石の中でも非常に明るく幸せなエネルギーを持ち、幸運の石と呼ばれているオパール。忍耐の象徴とも言われるオパールには、人生の困難に耐える力を与え、才能や可能性を引き出し、願望を達成するために導く効果があると言われています。また、ネガティブな感情やストレスを和らげ、浄化する効果があるとも。身につける人にポジティブな気持ちや創造性を与えることで自己表現能力を高め、人間関係や恋愛において幸運を引き寄せる力も持っているとされています。
▼オパールの歴史や石言葉はこちらの記事も参照
https://l-co.jp/magazine-opal4/
【10月の誕生石】「すべての色が存在している」と言われるトルマリン
100色ほどのカラーバリエーションがあり、「カメレオンジェム」とも呼ばれているトルマリン。熱や摩擦を加えると電気を帯び、マイナスイオンを発生するという唯一無二の特性を持つ宝石、トルマリンの特長を紹介します。
トルマリンの特長
トルマリンとはひとつの石についた名前ではなく、鉱物グループを総称した名前。酸化ホウ素が主成分となっているため、加熱するとその周囲に微弱電流や遠赤外線を発生させる独自の特性を持っています。その際にマイナスイオンを発生することから、ストレス軽減・癒し効果があるとも言われていますが、その健康効果については科学的に証明されていません。帯電する特性から、和名を「電気石」と呼ばれています。
トルマリンは、宝石の中で最も色の種類が多い宝石と言われており、赤、ピンク、緑、青、茶色、黒などの様々な種類を有しています。中にはひとつの結晶の中に複数のカラーが混ざり合っている珍しいものも。これらはかつてトルマリンとして総括されておらず別々の宝石だと認識されていたため、色ごとにさまざまな名前がつけられています。特長的なトルマリンの種類を紹介します。
ルベライト(レッドトルマリン)
ラテン語で「赤から生まれた」という意味の「ルベリウス」に由来する、赤系のトルマリン。マンガンを含むことでピンクやレッド、パープルなどを発色します。マンガンの含有率が高いほど美しい赤色を発色しますが、マンガンにはインクルージョンを取り込みやすいという性質があるため、色鮮やかで内包物の少ないルベライトは非常に少なく、希少価値の高い宝石です。
グリーントルマリン
その名のとおり、緑系のトルマリンです。「緑の石」の意味を持つ「ヴェルデライト」と呼ばれることも。黄緑色、青色、深い緑色など色味の幅が広く、インクルージョンが入りにくいため透明度が高いのも特長です。中でも、クロムを含有することでひときわ鮮やかな緑色を発色するものは「クロムトルマリン」と呼ばれ、まるでエメラルドのような輝きを放ちます。
カナリートルマリン(イエロートルマリン)
黄色系のイエロートルマリン。カナリートルマリンは、その中でもネオンを帯びた彩度の高いイエロー~ライムグリーンの色を放つ種類のもの。カナリーとは鳥のカナリアのことで、カナリアの羽を思わせる美しい色から名付けられたそうです。産出量が少ない上、大きな結晶が出てこないので希少石としての人気も高い宝石です。
パライバトルマリン
世界三大希少石のうちのひとつとされている、ネオンのような青と緑の輝きが美しいパライバトルマリン。ブラジルのパライバ州の丘陵地から発掘されたことからこの名前がつけられました。銅とマンガンが含有されることで、濃いエメラルドグリーン、ウィンデックスブルー(洗剤のような青)、深みのあるサファイアブルーなど美しい色合いを見せてくれます。
インディゴライトトルマリン
深い藍色~明るい緑色まで、様々なトーンのブルーが見られるインディゴライトトルマリン。半透明から不透明な結晶が多いため、透明度の高いもの、また、大きいカラットのものは非常に希少性が高く、パライバトルマリンに次いで価値が高いとされています。
バイカラートルマリン
ひとつの結晶に2色の層があるものがバイカラートルマリン。3色以上の色が確認できるものはパーティ―カラートルマリン、もしくはトリカラ―トルマリンと呼ばれています。色を生じる成分(鉄、マンガン、クロムなど)がそれぞれ別のタイミングで結晶に入り込むことで色の違う層が生み出されています。最も多いのがピンク&グリーンのバイカラートルマリン。他にも多彩な色の組合せのものが存在しています。
ウォーターメロントルマリン
ウォーターメロン、つまりスイカのように、中央がピンク、その周りを緑色が囲んだトルマリン。バイカラートルマリンとは違い、結晶を輪切りにするようにカットしてこの色合いを表出させます。
トルマリンの歴史や言い伝えとは
トルマリンの語源は、スリランカのシンハラ語で「混ざった石」を意味する「turmali(トルマリ)」からきていると言われており、その名のとおり、トルマリンには長い間他の宝石と間違えられていたという歴史があります。例えば、グリーントルマリンはエメラルド、ルベライトはルビーと混同されていたそう。1800年代終盤、ティファニーの宝石鑑定士であるジョージ・フレデリック・クンツがトルマリン鉱床について記し科学的な組成が解明されたことで、ようやくトルマリンが宝石として識別されるようになりました。
そのような背景から伝承が少ないトルマリンですが、古代エジプトではトルマリンを「地球の中心から太陽まで虹の架け橋を渡って旅をしてきた石」としていたそう。トルマリンが持つ多彩な色はこの旅の途中で虹の色が移ったと考えられ、さらには宇宙の旅によって天上界の知恵を授けてくれる石である、と信じられていたようです。また、15世紀にはオランダの商人たちによって圧電性という特別な性質が発見されたとも。ひとつの宝石としては認識されていなかったものの、トルマリンの持つ独自の特徴は古くから知られ、愛されていたことがわかります。
また、トルマリンが世に知られた頃の最大市場は中国。中国最後の女帝・西太后はトルマリンを非常に好み、中でもピンクトルマリンやルベライトをこよなく愛していたそうで、なんとカリフォルニア州サンディエゴのトルマリン鉱山で産出されたトルマリンを1トンも買ったという逸話も残されています。
トルマリンの石言葉、石の持つパワーとは
赤系
ルベライトやピンクトルマリンなどレッド系のトルマリンは、恋愛に関する運気を向上させてくれる「愛の石」として人気。素直に自分を表現する力になってくれると言われていることから、愛情表現が苦手という人にぴったりです。
青系
パライバトルマリンなどブルー系のトルマリンは、精神面に働きかけてくれる石と言われています。直観力を高めたり、気持ちを落ち着かせてくれたりすることで、物事を冷静に捉えられるようにしてくれるそう。
緑系
鮮やかなライトグリーンや深い森林のようなグリーン系のトルマリンはヒーリングストーンとして人気。自然を感じさせる緑が心をリラックスさせてくれ、自然体な自分を取り戻すことができると言われています。
黒系
黒やグレーのトルマリンは、古来より祈祷などに用いられてきた石。そのことから、魔除け・厄除けの力があると言われ、災いから持ち主を守るお守りとして身につけられることの多いカラーです。
10月の誕生石、オパール、トルマリンについて紹介しました。どちらも色合いが多彩で、独特な輝きが魅力の宝石です。心地よい季節、豊潤の秋にふさわしいカラフルなオパール、トルマリンを身につけてお出かけしてみてはいかがでしょうか。
■この記事のポイントのまとめ
10月の誕生石一覧
【10月の誕生石】虹のように輝く遊色効果がドラマチックなオパール
【10月の誕生石】「すべての色が存在している」と言われるトルマリン