冠婚葬祭から日常使いまでオールマイティに身に着けられる、パールネックレスなど真珠のジュエリー。せっかくなら、年を重ねても愛用し続けられる、質のいい“本物”を持っておきたいもの。そこで、まずは、種類をはじめとする基礎知識をチェック。さらに質のいい真珠を選ぶためのポイントを押さえて、一生ものを見つけてくださいね。
優しい輝きを放つ真珠は、派手すぎず品よく身に着けられる宝石。その光沢は「月のしずく」や「人魚の涙」とも呼ばれ、紀元前3200年頃にはすでに宝石として珍重されていたようです。宝石は主に天然鉱物を指しますが、真珠は貝の体内でじっくりと生成され、それもまた真珠の神秘性を高めているようにも思われます。どこかロマンチックな印象を与える真珠について、特徴や種類について詳しく見ていきましょう。
真珠(パール)ってどんな宝石?
貝の中には炭酸カルシウムを分泌する「外套膜」という細胞があります。小さな異物が入ると、この外套膜によって包み込まれ、核になって次第に丸い形を成していきます。これが「真珠」です。自然にできるものを「天然真珠」といい、人が手を加え、貝の中に核を埋め込むことでできるものは「養殖真珠」と呼ばれています。現在宝石店などで手に入る真珠のほとんどは養殖真珠。天然真珠は希少な分、とても高価です。
真珠(パール)にはどんな種類がある?
「アコヤ真珠」「淡水パール(真珠)」といった言葉は聞いたことがありますか?これらは、真珠を生成する“貝”の種類を指す名称です。貝はそれぞれ産地が異なり、見た目の印象にも違いがあります。主な種類の産地や特徴は次の通りです。
◆アコヤ真珠…アコヤ貝を母貝として採れる日本国産の真珠。四季による寒暖差のある日本の海で育つことで、キメが細かく光沢の美しい真珠が育ち、フォーマルな場でも用いられます。南洋産の真珠に比べると小ぶりで丸く、色はホワイト系やホワイトピンク、クリーム、ブルー、ゴールドなどがあります。ホワイトの最高峰が花珠、ブルーの最高峰は真多珠と呼ばれています。
◆淡水真珠…河川や湖、沼といった淡水で養殖される二枚貝から生まれる真珠。産地は主に中国。アコヤ真珠などとちがって、養殖する際に母貝に核を入れないため、形が変形したものが多くなります。また、大量に養殖されているため、低価格のものが多かったのですが、近年は品質が向上や人件費の高騰もあり、価格もアップ。ホワイト系だけでなくオレンジ系やパープル系など色味も多彩です。
◆白蝶真珠…30cmを超える大きな白蝶貝からとれる真珠。主にオーストラリアなどの南洋で養殖されています。貝の大きさによって真珠そのものも大粒で、直径10~15㎜ほど。ゴールド系とホワイト系と色味は大きく分けると2種類あり、華やさが際立ちます。またの名を南洋真珠ともいいます。
◆黒蝶真珠…最大の特徴はその神秘的な色味。黒、緑、赤など多様ですが、はっきりとした黒のものはブラックパールと呼ばれています。母貝の黒蝶貝の産地はタヒチが90%以上を占めるため、またの名をタヒチパールともいいます。サイズはアコヤ真珠に比べると大粒で9~11㎜が一般的なサイズです。
質の良い真珠を選ぶために必要な「見極めポイント」とは
オールマイティに品よく身に着けられる本真珠は人気が高くお値段も高価ですが、模造真珠といわれるイミテーションパールなら、グッとお手頃価格になります。ただ、フォーマルな場ではやっぱり“本物”を身に着けたいものですよね。そこで本物とフェイクの違いをご紹介するとともに、より質のいい“本真珠”を購入するために知っておきたいポイントを解説します。
本物とフェイクとの違いは?
フェイクであるイミテーションパールには、プラスチックの玉に真珠の箔を塗った「プラスチックパール」、ガラスを核にして真珠の箔を塗った「ガラスパール」、綿を圧縮した核にパール加工を施した「コットンパール」、また、貝殻を使って加工した「貝パール」などがあります。プラスチックパールやコットンパールは本真珠に比べるととても軽く、コットンパールはハンドメイド感のある風合いですぐに見分けがつきます。一方でガラスパールや貝パールなどは、見極めるのが難しいようです。穴を開けた断面がツルツルしていないものが本物ですが、プロに確認してもらうのが確実でしょう。
見極めるための6つのチェックポイント
自然の力で育つからこそ一つひとつに違いがある真珠。その中でも質の良し悪しを見極める基準がいくつかあります。主なものは次の6つです。
1 | サイズ | 大きいほど価値が上がる。※3.0mmなど小さくても需要の高いものは高騰の傾向 |
2 | 形 | 正確な真円に近いほど質が良いとされるが、ティアドロップシェイプなど希少性の高いものは変形でも高評価 |
3 | 傷 | 有無・程度によって評価が変わる |
4 | テリ | 光沢や輝きを意味する |
5 | 巻き | 真珠の層の厚さを意味する。厚いものほどテリが出るといわれている |
6 | 色 | 明確な基準はなく時代のニーズなどで流動的な評価となる |
鑑定書など客観的な情報も参考に
上記のような判断基準はあるものの、自分の目で正確に見極めるのは難しく、あくまで選択する際の一つの目安として押さえておくのがおすすめ。品質を確実に把握したい場合は、鑑別機関での鑑定を利用するのもひとつの手。信頼のおける鑑定書としては、「真珠科学研究所」「真珠総合研究所」などがあげられます。
やっぱり気になる相場 価格の違いをつくる3つの要素
例えばアコヤ真珠のパールネックレスだと、1万円台から数十万円以上するものまであるように、価格の幅が広い真珠。品質が高くなれば価格は高くなります。フォーマルで身に着ける場合は、5万円以上の価格帯から選ばれるようです。実際に真珠のネックレスを購入する際に知っておくとよい、価格を左右する要素についてもチェックしておきましょう。
希少性
真珠に限らず、どんな商品でも希少性の高いものは高価になります。真珠も産出量の少ないもの、人気を集めるものほど価格はアップ。例えば、淡水パール、白蝶真珠、アコヤ真珠の順で希少性が高くなるため、「10㎜のホワイト系」という同じ条件でも、価格は異なります。また、色については、日本ではピンク系が人気といったように、時代やエリアごとにトレンドがあり、それが価格にも影響します。
品質
人々の好みやその時の産出量など、流動的に変わる希少性に対して、「テリ」「キズ」「巻き」などは、客観的かつ一定の基準に沿って良し悪しが判断できます。ただ、自分で見極めるのは至難の技。販売員などプロの説明も参考にしつつ、鑑定書も目安に。また、購入する際は、最初にできるだけ上質なものを実際に見て、それを基準にしつつ、いくつかの商品を見比べ、自分の好みも加味した上で選びましょう。
加工や仕上げ
パールのジュエリーには、貝を浜揚げして採れた真珠を、そのままアクセサリーに使用しているわけではなく、真珠の美しさを最大限生かすために、人の手によってさまざまな加工が行われています。染み抜きや調色、またジュエリーに仕上げる場合の珠の揃い具合などがその例。加工や仕上げの優劣も、価格に影響します。
まずは持っておきたいアコヤ真珠のジュエリー
しっとりとした光沢で深みのある輝きを放つアコヤ真珠は、一つは持っておきたい王道パールといえます。中でも、冠婚葬祭で使える、高品質なパールネックレスをご紹介。定番のスタイルだからこそ長く身に着けることを考えて、質にこだわってセレクトしましょう。
真珠の質の見極め方は押さえられましたか?聞きなれない言葉もあったかと思いますが、知識だけでなく、実際に見て、その光沢の美しさや存在感をしっかり体感することも大切。ずっと愛用できる真珠のジュエリーを見つけてくださいね。
■この記事のポイントのまとめ
アコヤ真珠、淡水パール… 種類や産地と知っておくべき基礎知識
質の良い真珠を選ぶために必要な「見極めポイント」とは
やっぱり気になる相場 価格の違いをつくる3つの要素
まずは持っておきたいアコヤ真珠のジュエリー